NEW SCHOOL 「5つの都市の断面図」 3月13日(金)トモトシ ワークショップ 「都市で避難訓練する」:ランダムな合図を用いて、都市の機能を“避難”として再発見する。
第五回、最後のワークショップは作家のトモトシさんをお招きしました。

トモトシさんは建築設計や都市開発に携わった後、「都市の構造やルールがいかに人々の振る舞いを規定しているか」を観察し、路上における様々なアクションを実践、また作品制作をされています。トモトシさんの実践には、都市が規定してしまうルールや規範をどのように逸脱しクリエイティブに遊ぶかということが隠されていると思います。

早速、会場であるArt Center NEWで避難訓練の「訓練」が始まります。突如として伝えらえられる合図に従い、受講者は避難します。「地震」、「津波」、「火災」、など想定されうる災害は多々ありますが、ひとまずそうした情報は置いておいて、とにかく会場にある椅子や机、あらゆる物体を使って隠れる、私たちを取り巻く環境や建築を「避難」という側面で捉え直すという実践です。椅子の隙間、机の下、壁のくぼみ、日常では意識されない物質的な細部が、身体と関わる新たな場所として、突然、立ち現われます。こうした経験を通じて、都市や建築は、単なる機能的に決められた枠組みではなく、身体の側からそれを使い、遊び、創造的に関わることで常に問い直され続ける、動的な存在として捉え直されます。


避難訓練のために受講者たちは、そのまま横浜の街へ歩き出します。歩いている最中にトモトシさんのスマホから無作為にアラームが鳴るたびに防災訓練(影に隠れる、近い建物内に逃げ込む、木に登る、伏せるなど)をします。予測不可能なタイミングで襲いかかる「有事」に応じることで、日常的な街歩きが、ふいに緊張感のある時間へと変容していきます。偶然この日は東日本震災があった3月11日にも近い、3月13日だったということもあり、内閣が提供している緊急避難場所のマップをもとに、横浜の避難場所をめぐるまち歩きも同時に行っていきます。


さらに重要だと思うのは、この実践に伴う「晒され感」です。日常的には避けられる「目立つ」という経験を、あえて引き受けることの意味。路上で寝転んだり座ったりしていると、ゴミが目に入ったり、幼児の無邪気な視線がいたいけであったり、不思議な感覚になります。規範と遊びのグレーゾーンを肌で感じながら、変な目で見られながら、街のなかで身を隠したり、飛び回ったり、寝転んだりする行為。その一連の行為は、個人という制度の内部に閉じ込められた身体を、社会的な空間へと開くこと、パフォーマンスでもあります。

防災、都市、身体、そして社会的な「晒され」、これらすべてが、規範から逸脱する「あそび」の中で、同時に問い直される。学ぶこと、あそぶことの意義深さは、そういう多義性の中にあるのかもしれません。






文・酒井風(当講座企画・補助)