高島鈴「横浜✧カルチャーセンター」受講レポート

高島鈴 横浜カルチャーセンターのプロフィール

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✧高島鈴「自分のために批評すること:少年漫画のクィア・リーディング」

NEW SCHOOL「横浜✧カルチャーセンター」連続講座が開講しています。

7月4日(土)第2回目は「自分のために批評すること:少年漫画のクィア・リーディング」と題して開かれました。講師はライター、アナーカ・フェミニストの高島鈴さん。自己開示の方法の一つとして批評を行い、書くことについて学びます。

 そもそも批評とは何か、と高島さんは語り始めます。実は身近に溢れていて、誰もが日々無意識に批評している。自分の世界の見方を思う存分語れる媒体だという説明に、導入の時点で批評というジャンルへのイメージが変容した受講生もいたかもしれません。

横浜カルチャーセンター講座 高島鈴
「自分のために批評すること:少年漫画のクィア・リーディング」
アナーカ・フェミニストの高島鈴。
横浜カルチャーセンター講座 高島鈴 「自分のために批評すること:少年漫画のクィア・リーディング」
受講生たちの様子。

 この講座では受講生へ宿題が与えられています。実際に批評を書き、読み上げ原稿を用意して次回の講座で発表します。批評のテーマは「自分の穴について考える」。
そこで高島さんは「少年漫画をクィア・リーディングする」ことを“自分の穴”として、穴が空いた経緯と穴である理由を説明しました。
 また、批評の一節と高島さんのエッセイを実例にあげながら、読み手を引き込ませる技術や世界観の作り出し方、文体の見せ方に至るまで詳しく解説しました。受講生の皆さんは、宿題の取り組み方について理解を深めていきました。

 レクチャーの後は質疑応答の時間です。高島さんが受講生からの質疑に答え、皆で批評の思考を深めていきます。受講生の中には普段から文章を書いている方も、初めて挑戦する方もいて、書くことについて幅広い質疑が飛び交いました。手法に関する悩みが共有されたり、言語化の過程において精神世界へのアプローチがアドバイスされたり。
高島さんの応答を得て、自身の固定観念を発見できたと語られるシーンもありました。各々が書くための準備を進められたように思います。

 最後に高島さんは、個人が持つ独自の引っかかりや気づきを正当化できてしまう批評そのものの自由さやおもしろさ、そして今の私たちが自分の“言語”を得る重要さを伝えました。受講生は時々メモを取ったり、首を傾げたり頷いたりしながら、集中して聴講していました。

 次回は宿題発表編です。受講生は自分の穴が空いた原因から、穴との自分との現在地までを見つめ、形にします。

横浜カルチャーセンター講座 高島鈴 「自分のために批評すること:少年漫画のクィア・リーディング」

✧高島鈴レクチャー「他人の『自分のための批評』を聞く:宿題発表編」

 7月11日(土)に開催された連続講座第3回目は「他人の『自分のための批評』を聞く:宿題発表編」です。講師は前回に続いてライター、アナーカ・フェミニストの高島鈴さんです。

 第2回目の講座を経て、受講生は「自分の穴について考える」をテーマに批評の原稿を書きました。受講生には自分の原稿を読み上げて発表してもらいます。読み上げの後、スクリーンに写した原稿に高島さんがコメントを入力しながらフィードバックしていきました。

 高島さんは、文章全体の構成、読み手の設定や、書き手が本当に言いたかった内容と言葉などを分析し評価していきました。さらに、より深く掘っていくとしたら何から語り出せるかについてなど、内容を拡げつつその人らしい文章を磨いていくための明確なアドバイスを伝えました。
 また、自分が語りたいことと、実際に文章として表現されていることのズレを確認し軌道修正する共同作業のような時間でもあったと思います。
実際に書き手となったことで見えなくなりがちな己の立場や他者の想定、価値観や倫理観を改めて自覚する機会にもなったのではないかと感じました。受講生それぞれがオリジナリティのある批評を書いた力ある実践だったと思います。

横浜カルチャーセンター講座 高島鈴 「自分のために批評すること:少年漫画のクィア・リーディング」
発表の様子。前に出て、声に出して読む。

 質疑応答は短時間ではありましたが、多様な視点から具体性の高い質疑が重なりました。各々の持つ目標がほぐされていったように窺えました。
 さらに、皆が「自分の穴について考える」批評を発表したことで、受講生同士の自己開示が行われました。講座終了後は不思議な信頼関係が生まれている様子で、高島さんも含めて労いの言葉を交わしていた光景が印象的でした。

 2回に分けて開催された高島さんの講座。タイトルにある「自分のための批評」とは、個人の感性と欲望を保全するための言語化とも言えないでしょうか。書くために自分と向き合う行為は時に痛みが伴うかもしれませんが、それを引き受ける覚悟を決めた時、書くことは自らを自由なままに生かせる手段になるのだと思います。今を生きて、書くことの意義が凝縮された講座となりました。

横浜カルチャーセンター講座 高島鈴 「自分のために批評すること:少年漫画のクィア・リーディング」

✧執筆者プロフィール

小川良美(おがわ・よしみ)
茨城県生まれ、在住。画家見習い。つくば市にある本と喫茶サッフォーでおしゃべり会「表現を続ける、生活を続ける」を開催。ヨヨミのペンネームで『シモーヌ』(サッフォー)にて漫画「ヘルシー♡メルシー」を連載中。