ABOUT

Art Center NEWについて

Art Center NEW(アートセンターニュー)は、2025年6月1日にオープンするみなとみらい線新高島駅地下1階にある芸術複合施設です。この施設のコンセプトは、名前にも込められた「NEW」というキーワード。「新しい」「これまでになかった」という意味の通り、Art Center NEWで行われるさまざまな活動を通じて新しい価値観や視点を提案し、「新しさとは何か?」を問い続けるアートセンターを目指しています。

事業について

駅の中の大空間を拠点としながら、現代アートの展覧会、海外作家の招聘及び展示、周辺地域を舞台としたアートフェスティバル、欧米・アジア・グローバルサウスの諸国との芸術を通じた国際交流及び国際展、国内外のオルタナティブスペースが一堂に会するプラットフォーム、子供から大人まで受講できるアートスクールやワークショップなど、芸術や文化にまつわるさまざまな取り組みを展開しています。ZINEやアートグッズを取りそろえたショップや、展示鑑賞のあとにゆっくりくつろげるカフェも併設しています。展覧会を目当てに来るのも、ふらっと立ち寄るのも大歓迎です。

Art Center NEW のオープンによせて

80年代が終わりに差し掛かった頃、週刊少年マンガ雑誌が爆発的に売れていた時代、最新号が通常の書店より3日ほど早く店頭に並ぶ謎の本屋が隣町にあって、お目当ての連載を誰よりも早く読もうと自転車を走らせ向かっていたあの時に感じていたワクワク。90年代、友人の家の部屋で手渡された、ニューヨークでデビューしたというバンドのファーストアルバムを聴いた時に、あまりにカッコよすぎて電撃が走ったこと。また00年代前夜に、ロンドンのアートセンターで現代美術に初めて触れた時の「なんじゃこりゃ!?」という未だかつてない衝撃。

新しい文化との出会いの記憶には、その時の感動と共に、それに触れた場所の風景が伴う。ただここ10年ぐらいは、すべての新しい情報が片手に収まった小さな画面から洪水のように流れ込んできて、その圧倒的な情報量にめまいを覚える。その小さな画面からは、世界で起きている目を背けたくなるような悲惨な出来事もリアルタイムで流れてくる。容赦のない空爆で逃げ惑う人々。一人ひとりの顔の見えない死亡者の数。貧困、飢餓、難民、格差、分断。大国は正義の代わりに力を振りかざし、自分たちのことだけを考えると声を大にするようになってしまった。一方で、地球温暖化をはじめとした「未曾有の自然災害」というフレーズをあまりに頻繁に目にするため、この星が抱えている問題の深刻さに気付くための感覚が麻痺してしまったかのようだ。

もちろん、自身が選び取っている情報の種類によるのかもしれないけれど、その小さな画面から流れ続けるこうした情報に浸っていると、なんだか気が滅入ってくる。その体験には、新しいものに触れる際のワクワクといった期待、カッコいいという感動、そして「なんじゃこりゃ!?」という驚き、あるいは物事の深刻さが伴わない気がするのだ。

やはり、私たちには、手のひらの画面の中ではないリアルな場所が必要なのだと思う。だから、Art Center NEW をはじめようと決めたのだ。

Art Center NEW が探求するのは、新製品のような単純な新しさだけではない。これまでにない物事の捉え方だったり、社会問題を理解するための新たな思考方法であったり、未知の人々との出会いであったり、自分自身がほんの僅かであっても変化や成長する機会であったり。名称の冠にあるとおり、その中心にあるのは文化と芸術だ。
この場所に訪れてほしいのは、若者はもちろん、社会人や年配の方、親御さんや子供たちまで。どの世代、どんな立場であっても、私たちは何かを諦めることなく、新しく変わり続けていくことができるはずだ。そこには、いつも期待、感動、驚きが待っていて、新しい何か、そして新しい自分と出会うことができる。Art Center NEW が、そんな場所になっていけたらと思う。

Art Center NEW
ディレクター 小川希